『サピエンス全史上巻』の感想文 NO.9

第8章 想像上のヒエラルキーと差別 悪循環

ChatGPTに要約をお願いしました。

「サピエンス全史」の第8章「悪循環」では、ユダヤ教キリスト教イスラム教といった宗教が、政治的な統制や社会的な規範を提供し、人々の行動を規制してきたことが論じられています。これらの宗教は、共同体を結びつけるための強力なツールとして機能し、人々の信仰と行動に影響を与えました。また、政治権力や経済的支配と密接に結びついて、社会的な秩序を維持する役割を果たしました。しかし、これらの宗教が人々の行動を制限する一方で、しばしば排他的な側面も持ち、異なる信念や文化との摩擦を引き起こすこともありました。その結果、宗教は社会の安定と統合に貢献した一方で、対立や差別をもたらす原因となることもありました。

 日本史に限らず、諸外国の中世の歴史を紐解くと、ヒエラルキーと差別によって支配されていました。そのために血みどろの戦いが長く続いてきました。もちろん、いまの時代も昔のまま変わりありません。しかし著者はそれらは想像上のものであると語っています。

p176 ほとんどの場合、ヒエラルキーは偶然の歴史的事情に端を発し、さまざまな集団の既得権がそのヒエラルキーに基づいて発達するのに足並みを揃えて、何世代もの間に洗練され、不滅のものとなる。

 著者も、もちろん読者も、想像上のヒエラルキーと差別が消えてなくなる訳ではないことを十分理解しています。想像上のというのは、歴史的な事実に基づいた結果であるけれど、それは著者が語るように、洗練され、不滅のものとなり、改修されることなく、いまだこの世界を支配していると言えるでしょう。

 『サピエンス全史上巻』は、下巻、そして『ホモ・デウス』へと続いていきます。過去の歴史が紡ぎだした、この世は、このまま悪循環が続いていけば、この先どうなっていくのか、想像に難くありません。