『サピエンス全史上巻』の感想文 NO.4

 第2章 虚構が協力を可能にした において著者は、認知革命について説明している。ホモサピエンスは7~3万年前、新しい思考と意思疎通の方法を手に入れた。

 p44 原始的な人々 現代のビジネスマンや法律家はじつは、強力な魔術師なのだ。彼らと、部族社会のシャーマンとの最大の違いは、現代の法律家のほうが、はるかに奇妙奇天烈な物語を語る点のある、

 つまり、著者は、認知革命とは、客観的現実であり、想像上の現実であり、その点において、ホモサピエンスは、シャーマンが部族社会の中心にいた頃の延長線上に、間違いなく存在していると、語っている。

 そして「文化」について、こう述べている、

 サピエンスが発明した想像上の現実の計り知れない多様性とそこから生じた行動パターンの多様性(中略)いったん登場した文化は、けっして変化と発展をやめない。

さらに「歴史」とは、こうした止めようない変化 とも述べている。

 そうすると、ホモサピエンス(我々)とは何者か?という疑問が、ふつふつと沸いてくる。チンパンジーとの真の違い」 多数の個体や家族、集団を結びつける神話という接着剤 ここまで読んで、私は何も語るべき言葉をみつけることができなくなった。ホモサピエンスの認知革命、つまり我々の歴史は7万年前から変わっていないことになる。歴史を紐解いてみようと試みても、本質的に何も変りようがなければ、戦争も核弾頭の製造も止めることができなくなる。

 「核弾頭の製造」世界中の何百万の赤の他人どうしが、協力する必要がある。いま、ホモサピエンスは生まれ変わる時なのだと感じる。いまこの世は、何か得体の知れない漠然とした不安が満ちている。そう感じるのは、私だけではないはずだ。異なる宗教、言語、文化、そうした差異は戦争を生み出す。しかし、そうした壁(差異)を乗り越えられるのであれば、世界平和も夢ではない。そう信じたい。